ルール無用の悪党と戦う

「張込みに同行したい」

という依頼人がたまにいる。

しかし、現場の状況を聞いてみると

車を止められる場所などまったくナシ

なんていう所なので、物陰やその辺に立って張るしかない

という結論に達すると

 

「なんで車使わないんですか」

「ドラマでは使ってるじゃないですか」

などと言われることがある。

 

「イヤー、あれテレビだから」

と言っても納得せず

「ヘタクソな探偵」

などと思われてしまうのである。

 

 

車の尾行でも

ガンガン交通ルールを無視して走る輩もいれば

トロトロ走って周囲に迷惑掛けっぱなし、というのもいる。

こんなのをマークして走ればバレるのである。

 

こういう場面でも

「みんなちゃんと尾行できてるじゃないですか」

などとテレビを見た人は言うのである。

 

 

まったく現実を無視した話しを持ち出す人は多いのである。

実際に

尾行でイケイケGO! GO!とやって

事故起したり、警察に捕まったりなんていう探偵もいる。

 

警察の尾行だって

勘付かれるな! バレるな! 事故起すな!

が基本なのである。

 

勘付かれたらすべてオシマイである。

見失っても

また次がある

のである。

 

次がないので必死になることもあろうが

事故を起せば、その刑事が

「お前、バカだね」

と言われるのである。

 

見失っても

「お前、バカだね」

なので、どちらにせよロクな結果にならん。

 

 

探偵も同様で

事故起しても、違反点数増えても

依頼人は

「あんたバカだね」

と言ってオシマイなのである。

後始末に協力してくる訳でもない。

 

 

失敗しても

「あんたヘタだね」

など言われる訳で

どちらにしても非難されるなら

無事でいる方が良いのである。

 

 

探偵はすべての法律を越えた存在ではないし

無法の世界で生きてる訳でもない。

さらに言えば

ドラマや映画などの世界で生きてる訳でない。

 

現実の世界で生きて、なんとか成果を出すよう

試行錯誤しているのである。

その過程では違法ではないけど、合法なのかな??

というものだってある。

 

白ではないが、真っ黒でもない

グレーの場合が多いのである。

限りなく黒に近くても、白が少し混じって

黒に近いグレーの所業だってあるのである。

 

 

そもそも

調べたり、追いかける相手は

違法であり、真っ黒の所業の連中である。

そんな連中に「正式」とか「合法」「順法」という

もので戦っても負けるだけなのである。

ここが警察と違う点かもしれんが・・・・。

 

 

しかし、だからといっても

イケイケGO!GO!で尾行なんぞするものでない。

 

不肖の探偵も交通ルール無視の輩を幾度か追いかけた。

当然こちらもルール無視である。

バイクで追ったことも車で追ったこともある。

 

尾行が終わって降り立った時に思うのはいつも

「生きてて良かった」

なのである。まったく寿命が縮む怖さである。