ゆく川の流れは絶えずして

平安時代の歌人、鴨長明の代表作「方丈記」に「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」とある。

「川を流れる水は皆同じように見えるが、池や沼の水とは異なり、それぞれは流れ去り元に戻らない」と訳されている。その通り、すべては水の如く流れ去り、元の場所に戻ることはないのである。

浮気で家庭内がゴタゴタして、たとえそれが解決されて過ぎ去っても「もとの水にあらず」で以前の夫や妻ではなかろうし、浮気された側の自分自身も以前の自分ではなかろう。

「ゆく川の流れ」のように、浮気相手と共にどこかに流され本当に遠くへ行ってしまう連中もおる。

川の流れも時間もすべて流れ去るし、人の気持ちも流れ去ってしまうことだってある。まったく諸行無常、万物流転の世の中なのである。

不肖の探偵の下にやってくる浮気調査の依頼は、こんな感じの「もはや元に戻らない」状態、「元に戻せない心」を持つ人からが当然多い。しかも結婚して10年どころではなく20年30年とガマンしていたり、なんとか気持ちを「擦り合わせようと」努力したきたが「心が折れて」しまった人である。

努力しても「相手」も同じように努力しなければどうにもならんだろうが、大概そんな努力をするのは妻側だけであったりする。妻がそんな努力をしていても夫は次から次へと浮気して遊びまわる、そんな夫婦もいた。否、そんな夫婦がほとんどであった。

努力してもこれでは解決にならんし、努力すること自体に意味がない。そんなことでは努力なんぞ止めてさっさと「今後のこと」を考える、その準備に労力を注いだ方がいいに決まっている。

川の流れは絶えないが、お互いが「あさっての方」に流れて行ってはエライことであろう。

ゆく川の流れは絶えずして