多重人格、自分が「自分」だということが認識できない人

職場で部下を前に「浮気はするな、不倫はするな、家庭崩壊だぞ」と訓示をたれていたオッサンの浮気調査を受けたことがある。

こういう人を見たり遭遇したりすると、「言ってることをやってることが違うじゃん」と誰もが思う。しかし世の中にはこういったことを日々実践している人が少なからずいる。

文句を言って終わるだけであれば「しょうもないオヤジ」で済むかもしれんが、本当に実際に「言っていること」を忘れている人がいる。忘れているのであればまだ良い、痴呆が入って来てるならまだ判る。しかし、世の中には人格が入れ替わってしまい「自分と他人」を区別できなくなってしまった人もいるのである。

「痴呆が始まったか?」などと笑っている人もいるだろうが、それはもしかしたら「解離性障害」かもしれんぞ。「自分が自分である」という認識を失ってしまい「その時の言動行動」を他人のものと認識してしまう。一般的には「多重人格」と言われている。

知り合いの実体験で、「実家に帰った時、夜、隣の部屋に一人でいるはずの兄弟の部屋から数人の会話が聞こえてきた」というのがある。こんな夜中になんだろうと思って聞いていると「数人が一人に説教している」ようであった。それは声も言葉使いも違う人がいるから感じたことで耳を澄ませて聞いていると「もっとも」と思うような説教をする人や非難する人、「それは可哀そうだ」と言って擁護する人、責められて「泣く人」いろいろだった。聞いていてオカシイな、と思って声を掛けて部屋を覗いたら「一人しかいなかった」とのこと。

まさしく多重人格である、「独り言」ではなく「五人言、六人言」である。しかもそれらを混乱することなく、理路整然と扱い役割をキチンと演じることができている。

 

前述の「浮気するな」と言って浮気するオッサンは交霊儀式をしてのトランス状態でもないし痴呆でもない、もしかしたらこれかもしれないし、単に「自分は特別待遇」と思っているのかもしれん。

会社では厳格、家ではDV、世間的には良い人、女にはだらしない、となるといくつもの顔を使い分けているので解離性障害かと思ったりするが、これは人格障害のケースに入るであろう。ただそういう身内を持った人たちの話しでは「人格が変わった時、目が変わる」と聞かされている。青や緑に変わるのではなく、「黒目が大きくなった」とか「全体的に灰色っぽかった」などである。

そういえば統合失調症の身内を持つ人の話しでも、ある時突然人格が変わりまったくの別人になると聞いた。そしてその時やはり「目が変わる」と言っていたのである。

 

さて、人格障害やら統合失調症やら変わった人たちを相手にしていたら「その方面」にやたらと詳しくなった探偵であるが、浮気を繰り返したり不倫にズッポリ嵌っている人たちはある意味「同族」であろう。否、何らかの「障害」を発症していると思って間違いないし、「その」傾向が強く出ていると思って良いだろう。

探偵としては「浮気調査件数」はそれほどでもなかろうが、「ある種の障害を発症していると思われる人」の調査件数とその分野については他の探偵の追随を許さない別格の探偵になってしまったように思う。

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