探偵が経験した張込みの「難行苦行」

前回「探偵が張込み中に遭遇した・・・」を書いたが今回は「張込み現場」の話しを書いてみる。

張込みする場所はいろいろあるし、方法もいくつかある。皆は「車からだったら楽だろう」と思っているかもしれないがそうでもない。車からだろうが外で立っていようが難行苦行だったりする。張込みは調査時間の大部分を占める(8割以上)ので苦戦となることが多い。

1、夏場で車内からの張込み

誰が想像しても「暑い」に決まっている。しかもエンジンかけてエアコン作動なんぞできないことがほとんど。最近はあちこちで「アイドリングストップ」なぞと言って駐車中はエンジンを止めるよう看板が出ている。30分とか1時間くらないなら大丈夫だろうが何時間もやってると車にも悪い影響が出てくる。まぁハイブリッド車とかであればいいかもしれないが。

さらに「誰も乗っていませんよ」と思わせるためには「エンジン止めて窓閉めて」となるので車内はサウナ状態になる。だんだんと息苦しくなって、そのまま我慢して乗っていれば頭がボーっとしてきて眠くなってくる。万一、寝てしまったら翌日のニュースで「炎天下、窓を閉め切った車内で男性死亡」となるのは必至だろう。そしてネット界隈で「この暑いのに、いい年コイて窓閉め切ってバカじゃねぇ~か」とか「汗かいて痩せるつもりだったか?」など散々なことを書かれるのがオチであろう。

2、冬場の車内からの張込み

夏と同様でこれもタイヘン。「誰も乗ってませんよ」とするには窓を少し開けて内側が曇らないようにする。ということは冷気が車内に入ってきてやはり寒い。さらに床下から冷えが伝わってきて足元も寒い。ということで車内であっても外と同じような服装となる。夏と同様で「眠ったらオシマイ」となりまるっきり冬山遭難である。

さらにトイレが近くなる。乗っていないはずだから降りてトイレなんぞは行けない。ということで冬場対策として不肖の車には「大人用おむつ」や「尿漏れパッド」が常備されている。

3、現地で対象者を待ち伏せする

行動予定が判明していて「行先」が判っている時「現地」で待ち伏せしてそこから尾行することもある。「駅の改札」や「空港のロビー」で待ち伏せることも多い。特定の店、場所などでも使う手。相手の顔や服装などをバッチリ記憶して出てくる人間の顔を追う「人力・顔認証システム」である。人がドバーっと出てくる度に作動する。けっこう目と頭が疲れる。

現地で待ち伏せといっても予定通りに「来ない」こともある。そうなると「いつ来るのか」と思いながらただひたすら待つだけになる。不肖は過去に京都、広島、新潟、福岡で「スカ」を食らった経験がある。朝から夕方までひたすら待つだけであった。

4、「来ない」ことを確認する

家人には「●●へ行くと言っているが、行かないはずだから確認してくれ」という依頼もある。来ない事を確認してどうするのか?とも思うのだがそういう要望を出してくる依頼人も稀にいる。これも「人力・顔認証システム」で確認することになって疲れる。

5、観光最盛期に観光地で張込み

多くの場合は日帰り調査だが、泊まりで連続調査となることもある。旅行に行くと皆気が緩むので尾行も楽だったりするし、写真撮っていても怪しまれないので楽だったりする。

しかし最大の問題が「宿が取れない」こと。予定が判っていればなんとか探し回って予約できたりするが、それができないこともある。カプセルホテルさえ取れない。レンタカーを借りて「宿替わり」にすることもあれば、野宿と似たような結果になることもたまにある。

特に「日帰り」調査のはずが「そのままお願い」となったら宿の調達は絶望的である。

6、雨の日の張込み

普通の人なら傘をさして立っていても怪しまれないが、そこに何時間もいたら一発で「不審者」になるのでウロウロ移動しながらとなり苦労する。

7、住宅街の張込み

探偵にとって難易度MAX。隠れる場所はないし、電柱や街路樹の陰にずっと立っていれば「不審者」になる。さらにこういう場所は車を止めて、という方法も難しく「嫌いな場所」の上位である。やはり行ったり来たりの方法を使うが中には「工事用車両」に見せかけた軽自動車を使う探偵もいる。しかしこれも邪魔だったら住民が警察に通報するので道路の幅次第の方法。

8、繁華街や歓楽街での張込み

どこに立っていようが安心な場所ともいえるが、ホテル街となると難易度が上がる。新宿あたりだと「客を探している」怪しいオネーチャンが「●●円でどう?」と営業で声を掛けてくるのでまた大変である。ホテル街も同様でウロウロしていると不肖のような怪しいオヤジであっても営業を掛けてくる。声が掛かるのは新宿だけではない。歓楽街であればどこでもそうだし、都内だけでなく地方でも同様である。

集中している時に来るとウルサイのだが反面、これだけ営業努力をしている姿勢を不肖も「見習わなくてはイカン」と反省することも多い。

9、出入り口がやたらと多い建物の張込み

最近の会社は大きなビルに入っていたりして出入口が10か所以上だったりする。さらに屋外デッキで他のビルと繋がっていたり、地上階で4~5か所、地下も地下街やら地下鉄直結など、推定で20か所以上だったりで何人動員したらいいのか判らないのもある。それでいて「どこから出入りするか判らない」となると絶望的である。勘でアタリを付けて見張るか諦めるかである。

ひたすら待つのが張込み