探偵が遭遇した恐いこと

初対面の人に「探偵やってます」といういと「浮気調査なんかしてるの?」と聞かれることが多いが、中には「危ない仕事だね」とスパイと勘違いしている人もいたりする。

もうどんどん忘れいてるのかもしれないが、この仕事をして「危ない経験」というのは無かったように思えるが、恐いと思ったことはけっこうあるような気がする。

 

1、後から教えられてビビった話し

肝心なことを教えてくれない依頼人もいたりする。「ある人物の行動を監視してビッチリ尾行せよ」ということで調査した時の話し。相手は30代前半で身長180センチくらい。引き締まった体つきで目つきは「優しくない」。夕方から深夜に車やバイクで尾行したり徒歩で出入りする店まで尾行したりと約1か月見張っていた。

終了して状況を報告したら依頼人が「隠してましたけど」と前置きして「アイツ暴行傷害の前科持ちです」「空手の有段者です」「けっこうキレやすいんです」だと。そして「よくバレませんでしたね、アイツ勘は鋭いヤツですよ」。バカ野郎、最初にそれ言えよ、である。

2、元依頼人からの緊急呼び出し

不肖の家からバイクで20分程度の近場に住んでいた、高齢独居女性で親族間の問題で調査を受けたことのある「元依頼人」。ある夜「スミマセン、ちょっと助けてください」という連絡があり便利屋ばりに出かけて行った。玄関開けたら血溜まりができ、廊下に点々と血痕が。「ついに親族問題で刃傷沙汰か?」と思い焦っていたら本人が這って出てきて「玄関で転んで頭を打ったら血が噴き出した」とのこと。

「どうしたらいいのか判らなくて電話した」とのことで困ってしまったが救急車を呼んで付き添いで病院へ行くハメに。血溜まりにはマジで焦った探偵であった。

3、新聞に載った元依頼人

血溜まりついでに似たような話し。ある案件で調査して相談に乗っていた会社経営の中年独身女性。仕事上のトラブルであったが「相手を余り追い詰めるな」「弁護士に相談しろ」と進言して調査報告書を渡して一件落着となった。半月くらい経って新聞の地元版を見ていたら住所と名前が一致する人物が「自宅マンションの玄関前で同僚の女性と共に包丁で刺され重体」という記事が載っていて驚愕。捕まった犯人はトラブルの相手であった。「追い詰めた」結果がこれである。

4、尾行された探偵

ある事件に関わる人物の監視を依頼され尾行張込みをした時の話し。張込み場所近くのコインパーキングに車を止めて監視に適した所から数日間見張っていた。三日目の帰り際、後ろからずっとバイクがついてくるではないか。何度か横道に入ったり周回してみたがやはりついて来る。「奴等の仲間か」と思い、赤信号になる瞬間を使って道を曲がってダッシュしたら振り切れた。尾行されたのは初めてだし不思議であった。

数日後、自宅に刑事が現れた。実は警察も例の人物を内偵調査していて「怪しい男」が見張っていることに気付き「仲間か?」それとも「敵対勢力の監視か?」となったらしい。車のナンバーから身元が割れうちに来たのであった。なんと「捜査本部」が置かれた大きな事件であった。

5、家出した息子の居所を見つけた結果

霊能者にみてもらった結果、バイト先が判り「そこで働く息子を尾行して居所を見つける」という依頼。なんとか見つけ出し依頼人に報告し一件落着であったが、数日後の深夜にまたもや「助けてください」電話がきた。

ヒマだったので行ったみたら、息子のアパートで本人が一人待っていた。入ってみるともはや「ゴミ屋敷」状態。洗濯物、弁当の入れ物、ゴミ、服などが散乱してまさに足の踏み場が無い。さらに冬だからかアパートの部屋の中が寒い。寒いというより異常なほど冷えている。何となくイヤな空気が漂い頭が重くなってしまった。とにかく依頼人を外に連れ出し他の場所へ移動し事情を聴けば、家に行く前に例の霊能者に言ったら『そこは危険だから中には入るな』と注意されたらしい。「何が危険なのか?」と思いながらも行ってみると鍵が開いていて誰もいないので中に入ったらあの状況。しばらくしたら金縛りに遭い動けなくなってしまい、1時間くらい経ってやっと電話できたのだと言う。不肖が着いた時も顔面蒼白で立ち尽くしていた、何かいるのだろうか?

そういえば当の息子も写真と実際では大違いであった。ほんの数か月で激ヤセしていて明らかに「病的」な顔つきであった。その息子が交際する女性は友人たちからの話しでは「付き合うと悲惨なことになる」と噂され、精神的な病気になり激ヤセしたり、事故に遭って大けがしたり、蒸発して学校を退学になったりと「不幸を招く女」であった。

この案件がきっかけとなり、「できる霊能者」の言葉を信じるようになった次第である。

6、利き手が違う人

50代夫の浮気調査で店に入って女と食事している様子を監視した時の話し。「左利き」ということであったが窓ガラス越しに見える本人は右手で箸を使っている。違ってるじゃん、ということで依頼人に電話してみると「うちのダンナはカンペキに左利きです」「家で右なんか使ったことありません、それ違う人ですよ」という答え。「不肖さんが間違ってるんじゃないの?」と言われても困るのでビデオで撮って後で依頼人に見せると、開口一番「頭がクラクラしてきた」、「右手がこんなに使えるなんてあり得ない」という返事。しかし顔や服装は本人そのものである。出てきた会社も帰ってきた道筋も、帰ってきた家もまさしく本人の証である。一体この人は何者なのかと恐くなった。

7、10数年消息が判らなかった弟を催事会場で探す手伝い

行方が判らなくなって10数年の弟が「ある祭り」に的屋の仲間と来る、という情報が弟の友人から伝えられ当日依頼人と現場で探した話し。当の弟の写真は無く、「だいたいのイメージ」だけの説明であった。催事といっても祭りなのでたくさんの出店があるし、店の人も入れ替わりなので何時間もその一帯を歩き回った。「あれは似てませんか?」「こんな体形ですか?」などと聞きながらついに深夜2時過ぎに依頼人自身が発見。「いたみたいです」と言いながらこちらに向けた顔が真っ白、というか蝋人形のような顔で、見ているこちらの方が後ずさりするような恐さだった。

深夜の電話ボックス